…好きだったから。


「こちらの会社はどうですか?スタジオライトさん」

ハローワーク職員のおじさんは、そう言って資料を目の前に差し出す。

出されたプリント用紙に目を通す。

…写真屋さん。


[アシスタント募集・未経験者歓迎]

と書かれた見出しに、わたしの心が揺れ動く。


「写真…」


高校の写真部だったとはいえ、少しの知識はある。

そりゃあプロに比べれば足元にも及ばないけど、無知ではない。


「わかりました。面接してもらえるか聞いてみます」

資料を受け取り、おじさんにそう告げ職安を出る。


やりたい仕事もない。

かじった程度の写真。

写真は嫌いじゃない。

どちらかと言えば好き。



…わたしたちの出会いが写真だったから、嫌いなわけがない。