…好きだったから。


「昨日はごめんな?」

「わたしもごめんね、先に寝ちゃった」

「うん。じゃあ…、行ってきます」

「行ってらっしゃーいっ!!」

わたしは元気いっぱい声を張り上げ、苦笑いをして部屋を出る聡を見送る。


どんなことがあっても、笑顔、笑顔。

笑っていればきっと大丈夫。


帰って来たいって思ってくれる。


補っていけばいい。

足りないものは一つ一つ埋めていけばいい。

自然に、さりげなく。

一方的で押し付けがましいんじゃなく。

疲れないように、うんざりしないように。



窓から後ろ姿を見送った後、スケジュール欄にバツ印を書き入れる。


…あと、4日。



付き合ったばかりの頃みたいに。

一緒に住み始めた頃みたいに。

お互いの存在が必要だった頃みたいに。


煙たい存在にならないように…。