きっかけは、1通のメールだった。
まさか、妻が私の携帯を盗み見るとは思わなかったのだ。
あれは、長女が高校生の時だったから、もう5年ほど前になる。
当時、うちの部署に派遣された派遣社員の女の子が、いじめられているのに気付いた。
いじめは良くない、といらぬお世話を焼いたのだ。
その若い女の子は、お礼のつもりだったのだろう。誰から聞いたのか、私の携帯のアドレスにメールを送ってきた。
先日はありがとうございました。ほんとうにうれしいです。わたしの事を気にかけてくれて、それだけで幸せです。
これからも、よろしくお願い致します。
たしか、そんな内容のメールだった。
次の日の会話で、妻がそのメールを見たと確信した。
「あなた、ゆみちゃんとおっしゃる女の子と随分親しくさせていただいている様ですわね。わたしもぜひお会いしたいわ。」
はじめは、ゆみちゃんが誰なのか分からなかったから、否定したのだ。それがまた彼女の怒りを倍増させてしまった。
次の日から、彼女の私に対する態度は豹変した。まず、会話がなくなり、今まで下着からスーツまで全て用意してくれていたのに、パンツすら用意されていない。
浮気だと思われている、と頭では理解しながらも、していないという怒りと、妻は信じてもくれないのか、という絶望から、否定することさえ馬鹿げているように思えた。
そうか、妻はそれを肯定ととったのだ。
しかし、今更そんな簡単な事に気付いても、日常化してしまったこの冷えた関係は、今更どうしようもないように思えた。
まさか、妻が私の携帯を盗み見るとは思わなかったのだ。
あれは、長女が高校生の時だったから、もう5年ほど前になる。
当時、うちの部署に派遣された派遣社員の女の子が、いじめられているのに気付いた。
いじめは良くない、といらぬお世話を焼いたのだ。
その若い女の子は、お礼のつもりだったのだろう。誰から聞いたのか、私の携帯のアドレスにメールを送ってきた。
先日はありがとうございました。ほんとうにうれしいです。わたしの事を気にかけてくれて、それだけで幸せです。
これからも、よろしくお願い致します。
たしか、そんな内容のメールだった。
次の日の会話で、妻がそのメールを見たと確信した。
「あなた、ゆみちゃんとおっしゃる女の子と随分親しくさせていただいている様ですわね。わたしもぜひお会いしたいわ。」
はじめは、ゆみちゃんが誰なのか分からなかったから、否定したのだ。それがまた彼女の怒りを倍増させてしまった。
次の日から、彼女の私に対する態度は豹変した。まず、会話がなくなり、今まで下着からスーツまで全て用意してくれていたのに、パンツすら用意されていない。
浮気だと思われている、と頭では理解しながらも、していないという怒りと、妻は信じてもくれないのか、という絶望から、否定することさえ馬鹿げているように思えた。
そうか、妻はそれを肯定ととったのだ。
しかし、今更そんな簡単な事に気付いても、日常化してしまったこの冷えた関係は、今更どうしようもないように思えた。

