50男の恋

ハガキが届いてから、はや2ヶ月。
その間、同窓会のことを思い出すことはほとんどなかった。

ただ単に、仕事が忙しかったのだ。
うちの会社の主力商品である、ペースメーカーが不具合を出したのだ。
この2ヶ月、その処理と問題解決のために、休みもとらずに走り回っていた。

気がつくと、もう秋になっていた。

どんなに忙しくても、同窓会に間に合うように、飛行機の予約は忘れなかった。

忙しくて疲れ果てているのに、心の中では同窓会を楽しみにしていたのだろう。いや、それを励みに頑張れたのかもしれない。

同窓会の前の日に着くように、飛行機を予約してあったが、出発の前の日になって急に気が変わった。

新幹線と特急を乗り継いで行ってみよう。
大学生の頃、普通列車を乗り継いで帰ったみたいに。

さっそく、インターネットで調べる。

「あなた、まだ起きてるの。明日、早いんじゃないの。」

とっくに寝ていると思っていた妻が後ろに立っていた。