「あなた、同窓会のお知らせが来てるわよ。どうせ行かないんでしょうけど。」
夜中に帰ってきたのが不満だったのか、不機嫌な声で妻が言った。
「廃校ですって。あんな田舎ですものね。あなた、久しぶりにご実家にでも行ってらしたら。わたしは行きたくないですけど。」
正直、同窓会なんて興味はなかった。50にもなって、今更同窓会かよ…というのが本音だ。
しかし、妻の不機嫌な声に触発されてつい言ってしまった。
「同窓会か。久しぶりに古い仲間と会うのも楽しいかもな。
親父にも会いたいし、行ってみるか。」
その勢いで、出席にマルをしてハガキを出してしまったのだった。
この時はまだ、彼女の存在なんて忘れていたのだ。

