たったひとことの遠回り

「あの、友紀さん。それで小説の感想は?」
自分の顔の温度が上がっていくのを感じた。順之助は、慌てて話題を変える。
「あっ、そうね。じゃあそれから話す? その前に、敬語と名前のさん付けはやめて。どうせ年上には見えないんでしょう?」
笑う友紀の前で、順之助も笑った。友紀、と口にしてみたかったけれど、また次の機会までのお楽しみにしておくことにした。