ガタンッ そう音がしたから、電車のドアの方を見たら、閉じかかっていたドアが開いた。 私は止めかけた足をまた走らせた。 ドアが閉じる。 ガタンゴトン。 誰かが聞いている音楽の音漏れが聞こえる。 私の前のサラリーマンの人がパサッと新聞を広げた。 私は視線を右に向ける。 彼は、イヤホンを耳につけカバンの中から本を取り出した。 何でそんなあっさりしてるの…? だって今の…。 彼はカバンを自分の足の間に置いた。