でもやっぱりすぐに美海の耳にも入ってしまった。
理奈がオレの家に初めて来た日に……。
あの日、両親が理奈を勝手に食事に誘い、屋敷に招いていた。
オレは得体の知れない女を家にあげたくはなかったが、一條家のためだと目を瞑った。
だけど理奈は、執拗にオレの部屋にも入りたがる。
なんとなく理奈の目的を察知したオレは、適当に誤魔化してそれを拒んだ。
そう言えば、オレの部屋に入ったことがあるのは美海だけだな、なんて思いながら。
いつまでも帰ろうとしない理奈にだんだんと腹が立ってきて、
「車で送っていく」
と言って、半ば強引に理奈を家まで送り届けた。
車の中で1人で話し続けてる彼女に、オレは適当に相槌をうつだけ。
可哀相かと思いながらも、建前だけの彼女が勝手にオレの生活を乱し始めたことに嫌気が差していて、気遣う気にもなれなかったんだ。

