「海里は何も分かってないよ、あたしのことなんて」
「え?」
海里の足が止まり、視線があたしに移った。
「美海……?」
あたしを心の底から心配している声。
もうダメ……
秘めていた想いが今にも溢れてしまいそう……!!
「海里、彼女できたって……本当?」
いきなりこんなにストレートに聞くつもりなんてなかった。
だけど、海里の言葉であたしは、自分の感情を抑えられなくなってしまったんだ。
「……え?」
海里はあたしの唐突な質問に驚きを隠せず、目を見開いてあたしを見た。
「彼女、できたんでしょ?……大学で噂になってる」
お願い。
違うって否定して……
自分から聞いておきながら、真実を知りたくない、知ることを怖いと思う矛盾。
「もう美海の耳にも入ったのか」
海里は顔色一つ変えなかった。
「本当なの?」
「本当だよ……」
真実は違うかもしれないって、ほんの少しだけ希望を持っていたの。
……だけど。
あたしの最後の希望も、
儚く散った。

