「何でも?」 「そう、何でもね」 海里はそう言ってあたしの手を取り、ゆっくりと歩き始めた。 何でも……。 海里はそう言ったけど、あたしの、胸の奥に秘めている気持ちなんて知らないでしょ? あたしが今どれだけ複雑な気持ちを抱えているかってことも……。 繋がれたこの手をギュッと強く握り返したくなる衝動と、 この手はもうとっくに他の人のものなんだっていう葛藤。