ヒメ恋~Last Love~


車の助手席に乗ったあたしは、窓から移りゆく景色を眺めていた。


車の中であたしは一言も喋らなかった。


海里もあたしに合わせているのか、終始無言。


でも、不思議とこの沈黙は苦しくなかったんだ。


だって、あたしの左手を、海里がしっかり握りしめていてくれたから。


彼女を乗せてる時も同じことするのかな……?

なんて考えてしまいそうになったけれど、それだけは思い留めた。


だって今からあたしは、海里に告白するんだから。


今のあたしに彼女のことは関係ない。


ほんの少しの希望でも、今は信じていたいから。