だから両親も何も言わない。
ううん、言えないんだ。
「リミにはコレをプレゼントしようと思うの」
そう言ってあたしは、リミの小さな首にペンダントをかけた。
興味深々にそれを掴むリミ。
「リミ?この人がリミのパパだよ?」
ロケットペンダントを開いて写真を指差す。
きっと“パパ”という意味は、リミにはまだ分からない。
だけどリミはニーッと嬉しそうに笑った。
「美海、海里のことは言うべきではないと思うがな」
途端に険しくなる父の顔。
「海里には言わないよ。だけどリミには伝えたいの。海里は、今もあたしが愛している大切な人だって。だからリミが生まれたんだって……いつか分かってもらいたい」
「お前の勝手な都合に、リミを巻き込むのか?」
「……思ったの。あたしは自分の気持ちに後ろめたいことなんて何もないって。リミを抱きしめてそう思えたの」
父は大きくため息をはきながら、半ば諦めたように言った。
「……好きにしなさい。だがこれだけは言っておく。これはお前が選んだ道だ。この先ぜったい後悔なんてするんじゃない。リミを否定することだけはぜったいにするな」

