ヒメ恋～Last Love～

颯斗さんの車に乗るのは初めてなはずなのに、以前も乗ったことがあるような錯覚に陥った。


「この香り・・・」


「えっ？どうかした？」


「ううん、何でもない」


「そう？あと少しで着くから」



この香り・・・海里と同じだーー


以前会った時は撮影で、『MiU』の香りをつけていたから気付かなかったんだ・・・。


「ねぇ、美海ちゃん」


「なっ、何ですか？」


突然名前を呼ばれて、つい声が裏返ってしまった。


「…ッ、あはははははーー」


颯斗さんが顔に似合わない大きな声で笑い始め、あたしはポカンと口を開けたまま静止する。


「美海ちゃんって相変わらず面白いよね」


颯斗さん・・・


そんなに爆笑するところでしたか・・・？


「颯斗さんの笑いのツボがいまいち掴めません・・・」


「ごめんごめん。ご両親の前と普段の美海ちゃんとでギャップがありすぎると思ってさ。さっきも笑いを堪えるのに必死だったんだよ、オレ」


「ギャップ…ですか？」


「そう。一見近寄りがたい雰囲気を醸し出してるけど、本当の美海ちゃんはちょっと天然入ってて楽しいよ」