ヒメ恋~Last Love~

会食も終わり、あたしはマンションに帰ろうとしていた。


「美海、もう帰るのか?もう少しゆっくりできないのか?久しぶりに会ったっていうのに・・・」


「ごめんなさい、お父様。今日は夜から仕事があるの。だから少しでも休みたいと思って・・・」


「そうか・・・。たまにはこうやって顔を見せてくれよ?テレビでしかお前の姿が見れないなんて寂しいからな・・・」


「またゆっくり来ます」


あたしはそう言って広間を後にした。


モデルの仕事なんて嘘。


今日は仕事は入っていない。


でも、このままこの家にいたくなかった。


恋人がいるのかという父の鋭い視線ーー


もしかしたら何か感づかれたかもしれないーー


そんな不安が押し寄せてくるから・・・。


早く帰った方がいい・・


ボロが出る前に・・・



足早に屋敷を後にしていると、


「美海ちゃん!!」


思わぬ人に声をかけられた。