ヒメ恋～Last Love～

会食は和やかに進んでいた。


あたしのモデルの仕事や新商品のCMの話、他にも他愛ない話ばかりで、本当に今日は食事だけが目的なのかと緊張も解れかけていた時ーー


「颯斗くんが美海の婿になってくれたら、栗原の家も安泰なのになぁ」


父の突然の発言に、一瞬ドキッとしてしまった。



やっぱりこの話をすることが目的なの・・・？



そんなあたしの不安を、颯斗さんの言葉がかき消してくれた。


「ははは。私じゃ由緒ある栗原の家を潰してしまいますよ。それに美海さんにはもう誰か決まった人でもいるんじゃないですか？」


また違う意味でドキッとしてしまう。


触られたくない話だから避けているのにーー


「美海、本当にそんな人がいるのか？」


父が厳しい顔であたしに聞いてきた。


「・・・いないわ、そんな人」


そんな厳しい顔されたら、こう答えるしかないじゃない・・・。