海里が会社に出かけ、あたしも実家に向かう支度を始める。


その間もずっと不安は消えなかった。



支度を終え、マンションを出ると、目の前に栗原家の車が止まっていた。


「お久しぶりです、美海お嬢様」


「佐野さん…」


佐野さんは、小さい頃からあたしの送り迎えをしてくれていた、栗原の家に代々仕える専属運転手。


会うのは1年ぶりになる。


「お元気そうね」


あたしは笑顔で佐野さんに話しかける。


「はい、おかげさまで。美海お嬢様もお変わりなく安心致しました」


「ありがとう。今日はお世話になります」


あたしは佐野さんに頭を下げた。