~夕菜side~

僕に話しかけてくれるのは

君だけなんだ

ほんとの事話せたらいいのに…



いつものように翼と帰る用意をしていたときのことだった

『夕菜…ちょっと来てくんなぃ??』

クラスの女の子達が私を呼び止めた

また始まる―

翼がこっちを向いて私に『待ってる』そういった気がした―



『ねぇ…転校生の【北川 翼】と最近仲良いよね??ぁたしたちから逃れられるとでも思ってんの??』

『…思ってなぃょ』

小さな声しか出てこなかった

私は中学校の時から【いじめ】をうけていた

原因は中学生の頃、同じクラスの女の子が好きだと言っていた男の子に私が告白されたからだった―

高校生になった今も中学校で一緒だった女の子が中学校であった出来事をみんなに話してからまた【それ】が始まった

『夕菜ぁ~ぁたしたち北川のこと【大っ嫌ぃ】なんだょねぇ~♪
 夕菜もほんとは【きもぃ】とか思ってんでしょ??
 ならさぁ~一緒に北川の事いじめちゃおぅょ♪
 そしたら夕菜にもぅ嫌がらせなんてしないからさぁww』

周りに居た女の子達も口々に『男なのにスカートとかきめぇし!!』とか、翼の悪口を言い始めた

―翼を【きもぃ】だなんて思ったことなかった

私にとって翼はただ1人の大好きな友達なんだ

そんなの…

『出来なぃょ…』

みんなの目を見れなかった

怖かったから??

翼の事好きなんでしょう??

じゃぁ自信もって言ぃなょ

なに怖がってんの??

『はぁ??お前に拒否権なんてねぇんだょ』

女の子達はそぅ笑って言って去っていった

1人になったとたん涙がたくさん溢れた

目を閉じたとたん浮かんだのは

初めて会った時の翼の笑顔だった