3センチ。


「へぇ~?」
…んもう!結衣ってば…
すると
「…あっ!ねえ、恵麻っ!!」
あたしの服の裾をつまんで前の方を指差した。
「……?」
あたしは何だろう、と思いながらも結衣の指差した方向を見た。

「―――えっ…」

前から歩いてくるのはまぎれもない脇本。
―――なんで!?
今、このタイミングで!?

「あっ結衣用事思い出しちゃった~♪恵麻、またね♪♪」
「えっ、結衣!?結衣!」
あたしの声はもう遅い。
結衣は反対方向に走っていってしまった。

……どうしよう。
何を話せばいい?
わかんないよ…

もういい!何でもいいから
話しちゃえ!

「…あのっ!」
私は勇気を出してはなしかけた。
すると彼は怪訝そうにこちらを向いた。


「あの…ちょっと話さない?」