優しさにつつまれて

武蔵は国語が好きだった。漢字が得意で本が好きだった。
そんな彼が高校卒業の前に小説を書いていた。

武蔵の母親が葬式の後で、参列した私達に形見分けとして、彼の遺作をくれた。

武蔵が書いた作品には、彼と私達が過ごした小中学生のある女子の名前が有った。

私は彼の四十九日が終わるまでに、一度その女子を連れて彼のお参りをした。