終始無言の未波に俺は緊張しながらも口を開いた。


「未波…治ってよかった。
またお前の笑顔見れてよかった。
会ったときからずっとそれが言いたかった」


「…ありがとう」


相変わらず俺の方を見ない。

それでもいい。話を聞いてくれるのなら……


「…ずっと忘れられなかった。未波のこと。

未波が帰ってこなかったら見てもいいっていった絵馬覚えてるか?」


「…うん」


「それ見たのは去年の12月。
つい最近なんだ。
それまで未波をずっと想ってた。
帰ってきたら一緒に見ようと思ってたんだ。

だけど桃香ちゃんがいつまでも待ってるのは未波が望んでないって言われてその時に見に行ったんだ。

そして弥生と付き合うことにした。

お前の次に俺をちゃんと見て好きになってくれた子なんだ。

だから好きになる努力をした。
だけどお前以上に好きになれる自信はなかった。
弥生とお前は全然違うから。
一緒にいても、全部お前と重ねてしまう。
どうしても未波を忘れられなかったんだ。

お前が俺の幸せを望むなら、それに答えることにした。
だけど間違ってた。
俺の幸せは最初から決まってたのに、無理矢理変えようとした。

なぁ未波?

俺の幸せはさ、やっぱりお前といることなんだよ。
お前と離れて改めてそう思ったんだ。
それをお前のために変えようと必死だった。
だけど、それじゃあ俺の幸せは本当の幸せじゃない。偽物なんだ。

お前に会って、恋に落ちた日に、今日は似てるんだ。

俺はまたお前に恋に落ちた。
ずっと、閉まっておいた気持ちがお前を見た瞬間、溢れてきたんだ」