俺は学校が始まるまで、バイトに明け暮れた。
母さんと親父からの仕送りもいくらかあるが、なるべく貯め込んだ。
なるべく、自分の力で生きていこうと想った。
そんなある日、浅木陸が俺の前に現れた。
バイトが終わり家に帰ると、誰かが家の前にうずくまっていた。
「おい、大丈夫か?」
何度か呼びかけてみたが返事はなかった。
顔色も悪くないし、手足が冷たくもない、熱も無かった。
ほっとくわけにもいかなかったので、とりあえずベッドに運んで寝かせた。
持ち物はなにもなくて、名前も解らなかった。
誰だ?
記憶を掘り起こしてみたが、何も出てこなかった。


