あたしは街の中にある唯一の公園を目指す。 自転車をこいでいる間も、綺羅に向かって話しかける。 聞こえてくるのは綺羅の言葉にならないものばかり。 いつもならなにも想わない信号も、今日はすごく長く感じる。 …早く!早く! 何度も心の中で唱えた。 やっとついた。 あたしは池の近くのベンチへ向かう。 「綺羅!」 「麻那…」 そこには涙で顔をぐちゃぐちゃにした綺羅がいた。 あたしは気づけば綺羅を抱きしめていた。