「おはようさん」
「おはよ…。
また色抜いたでしょ!
またムッチーに怒られるよ!
っていうか、
翔くん補修必要ないじゃん!」
「またまたうっさいねん!
暇やねん!!
えぇ色やろ。」
この関西弁の金髪は、
高校一年から友達の西村翔くん。
金髪どころか、
耳に口に眉に眉間にピアスだらけ。
制服は着崩されて、
缶バッチやらなんやら、
くっついてるし。
だけどちっちゃい。
実は160cm。
生活指導の筋肉ムキムキのムッチー竹山と、
毎回格闘してる。
こんなのが野放しになってるのは、
翔くんが、
半端じゃない天才だから。
全国模試で、
よくトップ5に入ってる。
彼女と喧嘩したって言っては、
暇を持て余して、
補修に出てくる。
俺に脳みそ分けて、
赤点地獄から救ってくんないかな。
「敏弥。もう一個赤点追加やで。
そろそろ、
留年の危機なんちゃう?」
こっちも関西弁。
慎吾。
セミロングの茶髪で、
顔がきれいだから女に間違われ、
よく痴漢にあう。
無口なくせに毒舌。
「ホントどうしよ…。」
「どうしようもないやんけ。
アホはもう治らんやろ。」
「ひでぇ!!
慎吾だって休み過ぎて、
単位やばいんだろ!!」
すげぇ仲のいい友達は、
この二人しかいないけど、
学校が好き。
唯一あの家から、
解放される場所。
でも時間は、
迫ってくる。

