「自分名前なんて言うん?」
よたよたしながら、
珈琲を入れる彼から、
声がかかった。
会話もなかったんので、
TVに夢中だった。
「え?なに?」
「名前??」
「敏弥。
そっちは?」
「亨。とうる言うねん。」
おぼつかない足取りで、
珈琲を運ぼうとする。
あぶなっかしいったらない。
「いいよ。
ありがと。
俺、運ぶ。」
「ん。
サンキュ。
これ。ミルクと砂糖。」
白い瓶に詰まった砂糖と、
ミルクを渡された。
女の子みたいにまめな人だった。
運んで、
ソファのまえの、
ガラスのテーブルに置いて、
白い絨毯に腰をおろした。
ソファを開けたのに、
亨君は座ってこない。
そわそわしてる。
あ、そっか。
「お風呂。
入ってきなよ。
俺のことほっといていいからさ。」
はっとした顔。
「ホント気にしないで。
俺、テレビ見てるし。
今いい所なんだ。」
まぁ、どうでもいいシーンだったけど。
「ほうか。
じゃ、ちょぉ、待っとって。」
「ごゆっくり~。」
珈琲と俺を置いて、
亨君は浴室へ向かった。
後ろから見ても、
危なっかしいなぁ。
まぁ、
浴室までは送っていけないけどね。

