入社二年目で、まったく愛を感じなくなった彼氏と別れた。
2年目の3月、課長からの着信音をラブミーテンダーにした。課長が忘年会の時、カラオケで歌っていたからだ。下手だったが痺れた。
3年目の記念に待ち受けを課長にした。課長は私の気持ちにまったく気付かない。私と課長が繋がっているのは携帯だけだ。私にしばらく彼氏がいないことを知ると危うく部下を紹介しようとする。私のことを娘のように思っているのだ。私はパパのような彼氏が欲しい。

5年目に課長が部長になった。最近は部長への思いが強すぎて仕事に集中できないくらいだ。きっかけは些細な何処にでもある出来事だった。仕事の相談を持ちかけ、酒に酔った課長を介抱する口実で家に上がり込み、添い寝した。翌朝、課長否部長に抱かれた。私は、はじめてパパの愛情を一心にあびたことになる。課長に抱かれることは嫌いではないが、事が終わり抱っこしてもらう時間が何よりも何事よりも嬉しく大切だ。今までの人生で強がってきた心の負荷を少しずつ癒してくれるようだ。プライドも消えていた。でもまだ、愛の言葉を口にできない。
愛の言葉は携帯はを通して表現している。私にとって携帯はただの機械や機会や手段ではなく、命の次に大切な愛を表現する器官だ。

私は周囲の驚きと猛反対を押し切り。(とりわけママは凄かった。)ママ曰く、しょぼくれて薄汚い中年のおじさんと結婚した。私の求めていた愛をパパ彼を引き寄せてくれたのは携帯だった。