「なんでこの席なんだ。」
会場に入れば、
円状のテーブルがずらっと並び、
席には、
各々の名前があった。
俺と洋ちゃんの席は仲良く、
壇上の真ん前。
ばーかばーか。
最悪だ。
乾杯の音頭。
もう飲むしかねえ。
酔っぱらって、
どうでもよくなってしまえ。
「松永。
飲むしかなくねえ。」
「飲むべ。」
乾杯のあずと共に、
呑みだした俺達。
ビールにワインが10本くらい、
各テーブルにあって、
俺らはそのほとんどを飲み干した。
…が、酔えない。
なぜかって?
会場の視線が痛い。
近場で聞こえるヒソヒソ話。
俺らは自分たちの看護師と書かれたネーム札を、
握りつぶした。
うちの薬剤師の江崎さんが、
不憫に思ったのか、
料理を持ってきてくれた。
「これ食べなよ。」
「すいません。」
いいとこあるじゃねえか。
禿のくせに。
「酔えねえ。」
「最悪だ。」
そんなことをしているとビンゴゲームが始まった。
新人が当たるように細工されてる。
洋ちゃんが当たったのに、
行きやしねえ。
寝た振りかますし。
「ねえ?
君、系列の人たち?」
面白がって、
系列病院の兄ちゃんがちょっかい出してきた。
命知らずめ。
俺たちは、
半端じゃなく機嫌が悪いのだ。
「あ゛?」
はい。退散。
カラオケとかはじまちゃって、
もうその場に居たくなく、
二人で連れション行ったり、
ラウンジでコーヒー飲んでたばこ吸ったり。
暇をつぶしてた。
「ほら、
理事長挨拶が始まるよ。」
と、師長に連行される。
この時ほどこの人を鬼だと思ったことはない。
理事長って。
あの噂の…。
初めて見たような気がする。
糖尿病で全盲の独裁者。

