悲しいな。
死んだ患者は生活保護だった。
どんな人生を歩んできたのかも知らない。
でも、
最後だれも見取ってくれない。
おそらくあの骨壷は、
奥さんと子供のものだと思う。
家族を亡くして、
独りで生きてきたのか?
それでも、
亡くなっても、
誰一人駆けつけてはくれない。
何と虚しい人生なのだろう。
この人も、
誰かに祝福されて生まれた人の子なのに。
寂しい人生だな。
「大丈夫か?」
椛田さんに声掛けられた。
やべっ。
おっこられるぅ…。
「まあ、
しゃぁんめな。
急変でやることは、
決まってるから覚えろよ。」
「…はい。」
あれ。
怒られんかった。
「あー。
急変時の記録は取ってたか?」
「何それ?」
「記録ぐらいしとけ。」
「えへ。」
「えへ。じゃねえこの。」
急変時の記録の手ほどきを受けた。
使ったアンプルとかは一か所に、
保存しあとから見直すとか。
まあ、
今まで手ほどき受けたことなかったから。
よかったよ。

