あった。
何がって?
白衣だよ。

「Mサイズでしたよね。
これが白衣です。
シューズも。
更衣室とタイムカードについて、
後で説明しますね。」

どうせ患者だろうって思って、
適当な恰好で、
来てしまった。

「タイムカードは、
ナース室にあります。
朝、病院に来たら、
必ず押してください。」

あわわわ。
願わくば、看護師さんに会いませんように。

「ここがナースステーションです。」

ナースステーションのドアの上部に、
ガラスがあった。
そこから覗くと、
おっかねー顔の、
看護師2名。
他数名。

一人は小柄なおばちゃん。
怖そうだ。
もう一人は、
大きなおばちゃん。
いかにも怖そうだ。

その二人のインパクトが強くて、
他の看護師は霞んでた。


そんな考えを巡らせていたら、
案内してくれてた事務の姉ちゃんが、
扉を開けた。

「こちら、
明後日から働く看護師さんの、
松本さんです。」

こんなナリで、
勘弁してくれ…・・・。

じろりと、
おばちゃん二人の目が動く。
俺硬直。

「よろしくお願いします~。」

次の瞬間、
ヘラってして、
言ってみた。

表情の変わらん二人。
怖ぇぇぇえぇええぇ!

やべっ。
就職先間違えた…。