夜中。

鶴宅に来ていた。
居る場所は、
外やけど。
細い路地裏にあるこの場所。
一段高くコンクリが積まれてる、
一角に鶴のアパートはあった。
人目にもつきにくくて、
こんな暗い所には、
人も来ない。

そこで、
たった一つのチュウハイと、
タバコを片手に、
俺らは話していた。

「洋ちゃんは?」

「寝てるんじゃない?」

じゃ、心おきなく。
女同士の、
立ち入った話してあるやんか。


「まっちゃん。
最近どうよ?」

最近どうよは、
この生活に入ってからの合言葉。
この時のニュアンスは、
少し違ったような気がするけど。

「まあ、何とか、
生きてるって感じ。」

お互い。
友達以上に近い距離に居て、
家族以下。
支え合うのは、
気力面。

あいつらも、
できてんねん。
俺だって…。

そう言いきかせられたのは、
何気にこの関係のおかげ。


「俺は、
まさかお前らとこんなに、
仲良くなるとは思わんかったわ。」

「いつだっけ?
実習一緒になったのがきっかけ?」

「そうそう。
洋ちゃんことは、
1年時から知っとったけど、
鶴ん事は、
そんなやった。」

「カラオケとかめっちゃ行ったよね。」

「お前ら、
歌、めっちゃ上手いんだもん。
俺、歌えんわ。」

「よく言うよ。
めっちゃシャウトしてたくせに。」


笑えた。
ほっと日常に戻れる瞬間。
これは、
此処の住人でありたい。