車のスピードが落ちてきた。
停車させる所を探しているようだ。

どうしよう嫌だ怖い気持ち悪い。
こいつら殺したい。
そんな中でも、
手は、
動くのを止めず、
衣服は乱れに乱れてた。

あぁ、誰も助けてくれない。
見捨てられたんだ。
騙された。
みんな死ねばいい。

暑い車内。
クーラーがかかっていても、
汗が流れる。
ぼたぼた、
汗が腹に落ちて、
汚い。

人間とはこんなに醜いものだと知った。

「お前が、
騙される方が悪いんだよ。」


俺の中の回線が切れた。
音を立てて何かが崩れてく。

「そうだよ。
初めから大人しくしてろよ。
気持ち良くしてやっからよ。」

カチャカチャ、
ベルトをはずす音。
そんなものはどうでもよかった。

そうか。
騙される方が悪いのか。
そうか。
じゃあ、
殺られる方も悪いんだな。


「あ――――――――――!!!」



出したこともないような、
大きな声。
叫ぶと共に、
男がひるんだ。
作業着のボンタンをはいていた俺。
そのポケットに、
道具が入っていた。
その中から、
彫刻刃の刃を長くしたような道具を出して、
思い切り、
男の足を刺した。
2,3度繰り返し。
これでもかって力をこめて。

「ぎゃあぁああ!!」