駅沿いを走っていたのか、
ネオンライトが眩しいほど。
あぁ、
ほんとにテレビで見た通りの街並みだ。
ある駅の前で止まった。
「あぁ、ここだ。
どうもありがとうね。」
ぺこりと会釈して、
じいちゃんが降りて行ったから、
俺も降りようとして、
ドアへ移った。
「君、この先の方だろ。
乗っけて行ってあげるよ。」
そう言われ、
腕をつかまれた。
「おぉ、その方がいい。
暗くて危ないから。
乗っけてもらうといいよ。」
「ね?
危ないからさ。
なんなら、家まで乗っけて行ってやるよ。」
その表情から、
邪悪な願望が読み取れなかった俺は、
「いいの?」
何と愚かなんでしょう。
アホの極みです。
それから笑顔で爺ちゃんに手を振って、
そこを後にした。
それから、
話しかけられ、
昼間の仕事の話で盛り上がって帰った。
悪そうには見えなかった。
俺も話に夢中で、
気付かなかった。
周りが暗くなってることに。
「あれ…。」
気づいた時には遅かったってやつで。
もう焦ってもしょうがないんだよねこれが。
「ここどこよ?」
「あ、駅に向かう近道。
気にしないで。
こっちの方が近いから。」
「そっ。それよりさ。
楽しいことしようよ…。」
「あ?」

