「お姉さんたち。
呑み行くの?
いい所あるんだけど、
一緒に行かない?」
ラフに着たスーツ。
金髪を立てて固め、
声を一層低くしてナンパ。
まぁ、仕事なんだけれど。
これが俺のお仕事。
お店にお姉さんたちを誘う役。
悪さしてるから、
あんまり詳しいことは、
聞かないでね。
これが面白いくらいにばれない。
「え~?
君はお店に出ないの?」
「ん?
お姉さん次第だよ?」
なんてやり取りしながら、
店に連れて行った。
それが金になる。
俺はその日、
3時間で、
3万円を手に入れた。
俺は笑いが止まんなかった。
「やべえ。
3時間で3万って、
いいのかな?」
「いいのいいの。
もらえるもんは貰っとこうよ。」
「だよな?」
そのバイトは、
それから2回だけ。
2回で、俺は、
家賃を払えた。
その後もやろうよって誘われたけど、
家に帰ると、
人をだましてるような気がして、
気が引けたから、
また今度お願いするよって、
辞めた。
やっときゃよかったのにって。
思った。

