「なぁ、
こんな時になんだけど、
飯いかね?」

「あ?」

「いや、昼飯食い損ねたし。」

「いいよ。」


でも着替えさせてくれ。
二人して大きなバッグに入ってた服に、
トイレで着替えて、
外に出た。

普通の居酒屋に入って、
飯食って、
話した。

原はいい奴だ。

「今日、昼間職長言ってたんだよ。」

「なんを?」

嫌なこと思い出させてくれるぜ。

「”あの女、俺に気があるぜ”
ずっとだよ。
まいるぜ。」

「勘違いもいいとこだぜ。
ほんと。
金積まれても断るわ!」

「だよな。
勘違いもいいとこだ。」

RRRR…

携帯が鳴った。
阪野さんだ。

「もしもし?」

『もしもし。
今な、エリア職長来てるんだ。
で、職長締め上げてるんだが・・・、
エリアに代わるから…。』

エリア職長って…、
まさか。

『もしも~し。
安田だ。
松永君か?』

「はい!!」

やべえ。
安さんだ。
入れ墨は言って、
めっちゃ怖そうな人。
一度だけ挨拶したことある。
こわ。

『今な、山田締め上げてるんだが、
鳴いて俺に土下座してんのよ。』

何したんだ?

『じかに土下座させる?』

「そんな…。
めっそうもない。」

むしろ逢いたくない。

『だろ~。
逢いたくなよな。
もうこの職場に当てないから、
安全な職場に回すから。
俺に免じて勘弁しちゃくれねえか?』

「大丈夫です。
そんな、安田さん。
安田さんが謝らないで下さい。」

『代わりと言っちゃなんだが、
こいつどうして欲しい?』