少し遅めの歓迎会。
数名姿を消した新人がいた。
混合内科に居る鶴は、
内科の歓迎会のほかに、
眼科、整形の歓迎会もある。
今日は眼科の歓迎会かな?
「お~!松永~。」
「お~!洋ちゃん!」
鶴の処に遊びに来た洋ちゃんこと、
洋佑21歳、鶴の彼氏。
奴はここから40分くらいにある、
北区で看護師をしてる。
俺と鶴、洋ちゃんは、
看護学校からの付き合い。
上京するきっかけもこいつだ。
もともと、
こいつとの面識の方が早い。
「鶴部居ねえし、
呑まね?」
「いいねぇ。
でも店知らねえ。」
「適当に入るべよ。」
そんなこと言いながら、
駅で待ち合わせして、
適当に入ったのが駅近くの焼鳥居酒屋。
人の良さそうなおばさんと戸板さん。
「あら、
そちら彼女?」
笑えるのが、
女将さんは洋ちゃんではなく、
俺に言ってきた。
洋ちゃん苦笑い。
低めの身長と華奢な体型。
長めの髪でよく女の子に間違えられる。
俺は男(笑)
よくあることだし、
面白いので訂正しなかった。
「洋ちゃん調子はどうよ?」
「大野先輩と飲んできた。
レポートばっかだよ。」
「いや、病院じゃなくて、
バンドの方だ。」
「あ~、今いろいろ探してる。」
こいつも俺と同じ。
看護師を目的として、
上京してきたわけじゃない。
バンドをやるために上京してきた。
バンドがみつかりゃ、
きっと即病院を辞めるだろう。
地元に居る頃から、
バンドやってて、
ライブの度にポスター書いたっけな。
「ま、ぼちぼち頑張ろうや。
お互いに。」

