執行猶予3年



「仕事辞める。」

「あ?」


今に始めった事じゃないが、
鶴が辞めたいと始まった。

「まだ1か月だべ。」

「でも辞めたい。」

どうやら、
指導を担当する先輩Ns、
プリセプターって言うんだが、
当たりが悪かったらしい。


「私優しいよね?」と、
呪文のように聞かれるらしい。
実際は、
何処が?と聞きたくなるような人だった。

実際は、
それだけではないような気がする。

知らない土地。
親しい知人はほとんどいない。
始まったばかりの仕事に、
慣れない作業。
専門職のプレッシャー。
息抜きの仕方の分からず、
年ばかり大人になって、
感情が上手くコントロールがつかない。

俺もそうだ。
いつかは慣れるさ。
そう言いきかせるが、
これが日常になると思うと、
吐き気がする。


それが社会人だというけれど、
それを諭してくれる人も、
いない。
居たとしても俺らにとってその声は、
ウザい説教にしか聞こえなかった。

若かったなぁ。

それでも、
孤独にさいなまれ、
自身もなけりゃ、
どうしていいか分からず、
もちろん先の見えない生活。

始まったばかりで、
つまずいた。
きっと迷路の入口あたりだろう。


本音は、
俺ももう辞めたい。



でも辞めても、
生活していけない。
そんな考えが決定を鈍らした。