「仕事辞める。」
「あ?」
今に始めった事じゃないが、
鶴が辞めたいと始まった。
「まだ1か月だべ。」
「でも辞めたい。」
どうやら、
指導を担当する先輩Ns、
プリセプターって言うんだが、
当たりが悪かったらしい。
「私優しいよね?」と、
呪文のように聞かれるらしい。
実際は、
何処が?と聞きたくなるような人だった。
実際は、
それだけではないような気がする。
知らない土地。
親しい知人はほとんどいない。
始まったばかりの仕事に、
慣れない作業。
専門職のプレッシャー。
息抜きの仕方の分からず、
年ばかり大人になって、
感情が上手くコントロールがつかない。
俺もそうだ。
いつかは慣れるさ。
そう言いきかせるが、
これが日常になると思うと、
吐き気がする。
それが社会人だというけれど、
それを諭してくれる人も、
いない。
居たとしても俺らにとってその声は、
ウザい説教にしか聞こえなかった。
若かったなぁ。
それでも、
孤独にさいなまれ、
自身もなけりゃ、
どうしていいか分からず、
もちろん先の見えない生活。
始まったばかりで、
つまずいた。
きっと迷路の入口あたりだろう。
本音は、
俺ももう辞めたい。
でも辞めても、
生活していけない。
そんな考えが決定を鈍らした。

