玄関のドアノブに手をかけた。
ガチャリと鈍い、
金属音。
玄関のかぎが掛かっていた。
「一愛合鍵。」
何の気なしに、
合鍵で、
鍵を開けた。
どうしてそこまで、
したかは分からない。
違和感とは、
得体の知れないもの。
得体のしてないもというのは、
恐怖の対象でしかない。
すると、
またあかない。
正確には少しあいた。
チェーンロックだ。
八巻は、
鍵もかけない奴だったけど、
なんで今日に限って、
ロックが掛かってるの?
簡単に開けよ。
なんだよてめえら勝手に怒れよ。
いるんだろ。
バイクあるもん。
覗きこんだ金井が、
隙間に手を突っ込んで、
チェーンロックをこじ開け始めた。
「何やってんのさ。」
「チェーンロック掛かってるってことは、
中にいるんだろ!
おい!!
八巻!!
いるんだろ!これ開けろよ。」
その異様な雰囲気に、
俺らは飲まれてた。
いつもなら取らない行動をしてる。
しばらく格闘してたら、
チェーロックがあいた。
旧式のチェーンロックだったから、
壊れたのかもしれない。
でも、俺らは確認するに間もなかった。
勢いよくドアを開けて、
土足で中に入った。
もう、
正常に機能してない脳みそ。
だって、
目の前に八巻が座ってるんだもん。
俺らが入ってきたのに、
動きもせずに座ってる。
俺はそれ以上近づきたくなかった。

