「おい、一愛。
最近八巻おかしくねえ?」
帰り道。
八巻と離れた瞬間、
金井に言われた。
「なにが?」
「別に何がってわけでもないし。
付き合い悪いし。
なんかあったのか?」
「お前の彼h詩じゃないんだから仕方ねえべ。」
俺はそう言って笑った。
俺もおかしいって思った。
でも、
楽しくて忘れたふりしてたんだ。
”今が”楽しいから。
今だけ。
でもね。
予感とか、
違和感って、
未来の匂いなんだ。
何かが起こる前兆。
当の本人が予期しなくても、
それが本人から発してくる。
金井はそれに敏感で、
俺は鈍感だった。
今を、
何も考えず、
言葉を、
それらを疑わず。
そうだね。
若すぎた。
異変はそのすぐ次の日に起きた。
夜に突然のコール。
八巻だった。

