「おし!
海行くぞ!!」
そう、
確か、10分ぐらいだった。
便所から出てきた八巻。
だらけてた俺は時間なんか見てなかったけど、
確かそのくらいだった。
その間に、
異常に元気になった八巻。
え!?
って思ったけれど、
海行きたかったから、
考えなかった。
人間の脳って勝手なもので、
自分の都合のよいようにいつも解釈するんだなこれが.
「うん!!
早く行こうよ!」
俺は二つ返事で、
八巻のバイクにまたがり、
海に行った。
「おっそい!
花火始めてるからな!!」
「ロケットはまだだべ!?」
意気揚々と乗り込んでく八巻。
その後ろ姿に少し違和感。
痩せた?
食べてる?
最近、会う回数少なくない?
”でも、
今が楽しければいいじゃん!”
その考えが、
若さがその先を考えるのを阻んだ。
「風が強くなってきたな。」
「しゃねえよ。
はまだもん。
ロケットはあぶねえからやめるべ。」
「手持ち花火腐るほどあるから。」
俺は、
派手な花火や、
それこそロケット花火が好きだけど、
昔じいちゃんと縁側でやった、
線香花火が大好きだった。
わざと暗がりに言って、
線香花火に火をともした。
「一愛。
お前何隅っこいってんの?」
「お。
線香花火な。
でも、風強くてすぐ消えちまう。
最後まで出来んのさ。」
「こうすれば?」
八巻と二人で肩を組んで、
わざわざ風の強い中、
線香花火をやった。
ポツリポツリと、
砂上に火が消える。
一つだけ、
最後まで落ちずに、
ゆっくり手の中で消えていった。
なんてことない一つの花火。
なんて儚くて、
美しいんだろう。
「寒いな。
なんか、買ってくる。」

