「鼻血でてるやんか。
弱いんやから、
喧嘩すんなよ。」
そう言って、
袖で鼻血をぬぐってくれた。
俺は、
照れて、
ちょっと恥ずかしかった。
「弱くねえ。
こいつは強いわよ。」
レディスのねぇさんがたが称賛してた。
体重もあったので、
力じゃ負ける気がしなかった。
学校じゃ、
校則を一切破らないおとなしい子。
家に帰ったら、
返信するような、
俺。
開放感。
全てが楽しくってたまらない。
「ほら。
お前のメット。
早く乗れよ。」
「おう。」
前に、
ノーヘル2ケツで捕まって、
ポリスメンにこっぴどく怒られて、
罰金食らってから、
ヘルメットをかぶりだした。
この間、
メットがダサいと言っていたら、
八巻が、
友達に頼んで、
メットに髑髏を入れてくれた。
格好良かったので俺は大満足で其れを受け取った。
「何処行くねん!!?」
バイクの走行中は、
話しなんて出来ないけど、
むりくり、
耳に口を近づけて、
聞いてみた。
「海ー!!
花火ーー!!」
でかい声で単語が返ってきた。
花火か。
この頃になると、
憧れが好きに代わってた。
まあ、
憧れの延長。
大好きな八巻のバイクの後ろに乗る。
其れが何より優越だった。
17歳。
ただなんてことない初夏だった。

