そのあと、
部長は自分の恥をさらすかのように、
慌てて警察に電話した。
馬鹿みたいに、
「松永に怒られちゃいました」
とか言いながら、
笑ってる。

こいつはみんなの殺気が分からないのか。

頭に血が上ってた。
民家の事を抜きにしても、
ムカついた。
この野郎。

こんなにも世の中ってのは不条理なのか!
弱いものは、
権力の下で、
何をされてもいいのか。

俺は、
気づいた時には、
ナース室の中にある、
果物ナイフを手にしてた。


ぶっ殺してやる。


「やめなさい。
そんなことしても、
貴方の得にはならないわよ。」


泣けてきた。
悔しくって悔しくって、
泣けた。

泣きながら、
民家に謝られた。

「まっつんに、
嫌な思いさせてごめんね。」


お前の為だけじゃない。
俺のプライドとか、
其れが許さない。


悔しいけど。
これが現実だった。
其れが社会の摂理だった。

これでもかってくらい、
社会の酸っぱさを知った。