もう、
夕方で、
病院では、
みんな待っていてくれた。
夜勤のメンツがそろい、
申し送りの最中。


「僕ちゃんたち大変だったね。」

碧さんが、
片言の英語でねぎらってくれた。

「お団子食べて。
大変だったね。
ホントあの馬鹿許せないヨ!
碧さんは、
民家サンの味方だからね。
部長が民家さんを辞めさせるようなことがあれば、
碧さんも、
みんなで辞めてやる。
だから元気出してね。」


俺も嬉しかったけど、
民家はもっと嬉しかったと思う。


「お前。
師長に礼言えよ。
おめえの為に首掛けてんだからな。」


俺たちは、
ナース室の向かいの、
処置室に身を隠してた。

「師長。
お疲れだったね。
松永君ありがとうね。」

「別にいんっすよ。
でもどういうことっすか?
山田、転院って。」

「口出す間もなかったのよ。
気づいた時には、
いなかったわ。
部長が手を回したのよ。」

意味が分からなかった。
どうしてそんなことをするのか。
そして悔しかった。

権力に負けた。
職員をどうでもいいと考えるその考えが、
たまらなく悔しかった。


「部長が来てるわ。
挨拶してきなさい…一応ね。」

「挨拶する事なんかねえよ!
ふざけんなよあの婆!!
相手は逮捕できねえわ、
なんだこの屈辱。
民家の立場はどうなんのさ!」

「一応部長も、
連絡してくれたんだから。」

師長の立場もある。
俺は折れるしかなかった。