何でこんなことになった。

テーブルに隣立って、
ワイングラスを傾ける俺達。

にっこりほほ笑む彼女。

「旦那は、イイの。
娘たちも許シテくれるワ。」

何を。
俺の頭にはどうやって、
此処から脱出するか。
それしか頭にになかった。

「貴方がクレタ、
ピンクのバラ。
嬉シカッタ。
アタシ、ピンクのバラ好キなの。」


今タイムマシンがあったら、
クリスマスの夕方ばらを買う寸前に戻って、
花を買おうとしてる自分を、
シバキ倒したい。


「松永サン。
あたしの事好キ?」


「…ゆ、友人としてね。」

もうしどろもどろ。
頼むよ。

「今日ハ、泊ッテね。」

見えるのが、
セミダブルのベッド。

やばい!!
早く逃げなければ!


食われる!!

「ネェ…。」

迫ってくる顔。
近い近い近い!!

「明日仕事だから!!
早いから!!
俺彼氏いるし。
ちょっとそんな風に見えません!!」

もう、
思いつきで彼氏いるって、
嘘ついた。
とたんリビアの顔色が変わった。
殺される。
一瞬思ったが、
殺されなかった。
じゃあ、送っていく。
そう行ってエントランスまで付いてきた。

彼女の家はマンションの10階。
エレベーターが来るまでのわずかな時間。
俺には長かった。

やっと来たエレベーターに飛び乗った瞬間。
動きが止まった。

正面を向いた瞬間、
彼女が俺に抱きついてるのが分かった。

俺の思考ショート。