夏と風鈴





虎次郎の葬儀は 着々と行われた


アタシの知らない人達が 虎次郎に会いにやって来てくれたのだ



こんな日がいつかは来るのが 分かっていた
だけど アタシはそれが受け入れられなかった




ねぇ どうして?
ねぇ? どうして虎次郎は呼吸しないの
ねぇ? どうして こんなに冷たいの


我慢していた涙が ポロポロと溢れ出す
泣いても泣いても涙は 止まらなかった


あまりのアタシのうろたえ様に 虎次郎の両親は最後の喪主の挨拶をしてくださった


最後の最後まで アタシはダメな奥さんだね

アタシは またひとりだ



“優希はひとりじゃない”

そう虎次郎の声が聞こえた気がした