夏と風鈴




「泉さんって まだ19だょね? なんだかすごいねぇ」



すごい? 何が?
さっきまで名前も知らなかった男の前でも 裸を隠さずにいられる事? アル中の事?
それとも アタシの身体?


アタシの身体には 無数の傷があった

煙草を押し付けた跡 カッターナイフで付けた跡
変な性癖を持った男にムチで叩かれた跡

それらの傷は 全部アタシがアタシを痛め付けた跡だ






「優希でイイよ」

「分かったよ」


山田虎次郎も 少し変わっている
アタシの行動にも発言にも 何一つ変な顔もせず クスッと笑うだけだ



「もう寝る」

「じゃあ おやすみ」


山田虎次郎は アタシを始めに寝ていた部屋に通して 自分は別の部屋に向かって行く





「ねぇ 一緒に寝ない?」

アタシから誘うのは初めてだった