花好きフクロウが追い返す様な悪者はどこにでもいる。牙を持った獣もいれば、ベルが出会った小さな悪もいる。
逆にクチバシで追い返す様な勇気もあれば、恐がり怯える者もいる。

森の花畑にいる彼がまさにそれだった。
兄弟を"ブタ好きな狼"に食べられた彼は一人になると決まって花畑にやってくる。花の香りに紛れて隠れる為だ。

彼はある晩も花畑に隠れていましたた。いつもと同じ場所に同じように寝そべり、綺麗な星と月を眺めながら休んでいました。
『誰かいる?』
急な声に彼は飛び跳ねそうになりました。狼に違いない…彼は寝転んだまま、ゆっくりゆっくりと転がって、川に向かいました。
『もしかして…』
近づいてくる足音に冷や汗が出て、鼻息もあがります。彼はいっそ立ち上がり走って逃げようと考えました。でも足が遅い事は彼自身わかっていたのでギリギリまで転がって進む事にしました。
『鈴をかえせ!』
急な声とともに何かがお腹の上に乗り、彼は間違いなく食べられたと思い叫びました。
『食べないで!』