大きな森の真ん中に、大きな池がありました。その池の近くには沢山の動物が住んでいて互いに助け合って生きていました。
集団にはリーダーがいました。
"花好きフクロウ"と皆から呼ばれる老女だ。彼女は朝から晩まで池のまわりにいて目を光らせてる。
もし悪者が来たら鋭いクチバシで追い返し、知り合いが来たら逃げ出すまで世間話をする。そして何より彼女を説明するうえで欠かせないのは誰より花が好きだということだ。
集団に彼女の様にまとめる者がいれば、集団を嫌って一人になりたがる者もいる。首に鈴を付けて夜の池で毎日泣いてる彼を知らない者はいなかった。
皆から"泣き虫ウサギ"と呼ばれる彼にも"ベル"という立派な名前がある。しかし立派な名前がある変わりに、彼には無いものがあった。それが理由で彼は毎晩泣いている。
もちろん毎日池の周辺にいる"花好きフクロウ"は毎晩彼を見ていた。しかし彼女も彼にだけは、むやみに声をかけなかった。
彼女は知っていた。
泣いている理由を知っていた。
どうして大きな池にいるのか知っていた。

彼女は初めて彼を見かけた晩に、悲しい話をきいたのです。