パチパチパチ


本能寺が音を立てて燃えあがっていく。


首謀者は、日本統一を目指す男が一番信頼していた男――名を明智光秀(あけちみつひで)。


そして――


本能寺の奥にある本堂には、日本統一を目指した男が白装束姿で中央に足を組んで座っていた。


彼の名を織田信長(おだのぶなが)という。


「――我が人生、この本能寺にて果てるのか」


信長はふと静かに、かつ寂しそうな表情で目の前にある自刃専用の短剣を眺めていた時だった。


《貴殿は本当にこのまま自刃していいの?》


後ろからいるはずもない女の声が轟く。


「――」


だが、信長は何も答えない。


女は一度ため息を漏らしてから、再び信長に声をかけた。


《もし、まだ日本統一を目指す“志”があるのならば――貴殿の命、いや魂を助けてあげましょう》