逆にもともとエメル城とは離れた街の出身のサスティンとは対照的に、城の周りにある街で暮らし、後にエメル城へと移り住んだエセルと捨て子でエメル城へ住むことになったフェリアは地理に関しては全くであった。


旅をするにあたって、エセルを王に選ばれたという誇りと不安の2つが支配していた。


しかし正直な所、こんな旅の知識をきちんと備えていない自分達がこうして旅に出た所で果たして全ての街や村を訪れ、命があるうちに帰って来れるのだろうか。段々不安の方が勝ってきているのは明らかだった。


しかしそんな気持ちを抱いているのは自分だけではないのだ。


エセルは前を歩く昔馴染みの後ろ姿を見つめた。


大丈夫、私には二人がいる。





面積が広い「さらさら草原」は抜けたころには夜になっていた。


北の区域は夜になると魔物が多く活動している為、日が暮れてから行動するのはとても危険な事だ。


そう判断した三人は草原を出た所にある森の入り口で野宿することにした。