「少し…、
ママと2人っきりで話しても良いかな?」


「えっ!!はっ、…
はいっ!!…」


慌てて振り返ると、

ママがにこやかに
微笑んで頷いた。


友達でもあるママは
目鼻立ちのハッキリした明るい顔立ちの
美人だ。


確かに男性なら口説きたくなる様な…


少し考えたが…

2人の笑顔に私が
どうのこうの言うのも
野暮の極みと思った。


取りあえず、

拭いたコップをしまいながら
振り返ると、

年配の男性に何か耳打ちされて
年若の男性がカウンターの椅子から立ち上がり、

ドアの方まで歩き
手招きをしていた。


ママが微笑みながら、

告げた。


「もぅ、
今日はこのまま上がって良いからね。」


奥に行き手荷物を取り、
少し化粧と身仕度を整え、

軽く挨拶を済ませてドアを開くと、

年若の彼が煙草をくゆらせながら立っていた。


此方に気がつくと、

照れくさそうな笑みを浮かべた。


初めて見る彼の笑顔に
私は少し嬉しく、

何故だか妙に…

そう、私は…

思いがけず照れてしまった。