それから、
いつもの日常を送りながらも、
店や外で何度となく逢ったが…。


ただ、時が立つと
仕事が忙しくなり
私は地元へと帰れない日々が続いた。


そんなある日
突然
彼と先輩は

私の前から
いや、この地から

…居なくなった。


後から解ったのは
「鉄砲玉」と
言われる人達で、

生きていても
追われて殺されるか、

服役しても…
出所してから…


と、聞いた。


まだ、
裏社会の濃い時代の事、
詳細な事は
聞けなかった。


彼と過ごした時間を振り返れば、

確かに彼は覚悟していたのだろう。


最後まで、
明るいと思えば

暗く何かを秘めた瞳は
独特で、

私の記憶に残る男(ひと)になった。


暫くして、
新聞に載った事件で
知ったし、

また、
彼の事を裏の方から
聞かされた。


その頃には
ママの店には
もう新しいバイトが入り、

久しぶりに行くと

そっと
ママから渡された
1つのメモを、


私は今でも忘れない。



「ありがとう。
幸せに…」



それしか
書かれていなかったが、
私は涙が溢れて零れた。



生き延びて…。
と、


願わずにいられない
若き日の夜。




風花の舞う
夜の想い出。